監督デビュー作『Taste テイスト』(21)が第71回ベルリン映画祭で受賞し、注目されたベトナムの映画作家レ・バオの監督第2作。主人公は中年男性のニン。公共空間や住宅の騒音を調べる機械(デシベル・メーター)を設置する仕事をしているニンは、私生活では両親との長く続く疎遠な関係や自らの家族との問題を抱えている。映画は、家族との絆を何とか取り戻そうとするニンの行動を描くが、通常のストーリーを語るというよりは、ニンが仕事で訪れる様々な場所、騒々しい飲食店、森、墓地などで出会う様々な“音”を観客に提示する。そこで描かれる世界は、遂にはシュルレアリスムの領域に達する。とりわけ、森の中に現れる大量の猿の群れは圧巻だ。第79回ロカルノ国際映画祭コンペティションで上映。