急速に変わりゆくカンボジア。ティダは、取り壊しを控えた廃映画館に暮らす霊である。ある日、幼い頃の映画館の思い出を記録するためにハイが訪れ、ティダとハイはたちまち強い絆を感じる。ティダは次の生で生まれ変わるため、ここを離れなければならない。しかし、人間の世界でもう一度生きたくなかったティダは、来世へ向かう手続きを拒み、ハイと旅に出る。短編とドキュメンタリーを通じて、一貫して環境問題と社会問題を扱ってきたリー・ポーレン監督の長編デビュー作。2024–2025年ビエンナーレ・カレッジ・シネマの最終4作品に選ばれた。ティダは1970年代の凄惨なクメール・ルージュ時代の傷痕を、2020年代を生きるハイは無分別な開発による居場所の喪失を抱えている。淡々と交わされるティダとハイの会話の中に、カンボジアが抱える歴史的トラウマと現代の痛みがそのまま表れる。