ただ事ではない。高校1年生のユンジは、担任教師のジョンソンとひそかに交際し、妊娠までしている。ジョンソンとは連絡がつかず、もう数日も学校に姿を見せていない。ジョンソンの妻ミニョンは、夫を捜すと言って学校に押しかけ、失踪届まで出している。子どもを望まなかったジョンソンとは違い、産んで自分にも家族というものができることを願っていたユンジは、今では子どもをおろしさえすればジョンソンが戻ってくると固く信じている。違法に薬を手に入れ、動物病院を訪ね、妊娠中絶を試みる。この不安で、不快で、不穏な道のりに、ルームメイトのギョンソンが同行する。『지우러 가는 길』が直面する状況は、深刻で、過激で、衝撃的になり得る。ただ世俗の世界で言われる事の重大さや、その後に続く一連の予測可能な波紋のためではない。むしろ、そうしたことに心を砕くつもりがない点に、この映画の真の野心がある。秘密と嘘の間で微妙な神経戦が繰り広げられるかと思えば、ユンジはさらに大胆に欲望を一つずつ行動に移し、見事に打ち砕かれる。登場人物たちは、自分が信じていた、信じたかった、あるいは信じなければならないと思っていた世界が、実はどれほど非情であるかをはっきりと目撃することになる。ゆえにこれは、純粋でロマンチックな学園ものでも倫理劇でもなく、冷淡で俗な世界を前に、大人も子どもも激しく揺さぶられる激情と激浪のドラマである。この大混乱の中でも、ユーモアという息抜き、友情と同行という出口を失わず、ついには自分たちなりの結論にたどり着く少女たちがいる。それを受け止める映画の胆力が見事だ。