作品のタイトルでもある「Sandiwara」は、マレー語で「演劇」「遊び」などを意味するという。実際、『Sandiwara』はマレーシア・ペナンの夜市の通りを舞台にした、ミシェル・ヨーのワンマンショーであり、遊びのような映画だ。劇中でミシェル・ヨーは、弾けるように明るいフード系ユーチューバーから、熟練したレストランのシェフ、緊張しながら舞台に上がる歌手、冷静かつ高慢な表情の評論家、そして活気あふれるウェイトレスまで、5人の人物を多彩に演じ分ける。英国のファッションブランド「Self-Portrait」の支援を受けて完成した作品だが、『Sandiwara』が単なるプロモーション映像にとどまらずに済んだのは、まったく異なるキャラクターを絶えず行き来するミシェル・ヨーの生気あふれる演技と、ペナンの夜市特有の雰囲気を映画の活力として余すところなく取り込むショーン・ベイカーの演出と撮影のおかげだ。10分余りの短い上映時間が終わり、エンドクレジットが流れる頃には、空間、演技、演出の調和によって生まれた躍動感が、あなたの顔に浮かぶ笑顔となっているだろう。